ChatGPTに対する期待感
ChatGPTに関する多数のたくさんの本が出版され、TwitterやWebニュースを連日にぎわせている。ChatGPTのことを多少なり知っている方であれば、このような疑問を抱くに違いない。
「ChatGptって実のところ、実務に使えるの?」
今まではとんちんかんな答えしかよこしてこなかった自動応答チャットに対するイメージは、ChatGPTが一般に利用されるようになり劇的に変わった。何となくそれらしい質問を浴びせてみては、的確に見える回答が返ってくることに対して感動を覚えたことは1度や2度ではないはずだ。ところが、こんな「遊び」にも飽きてきた我々にふつふつとわいて期待が、「これは何となく仕事に活かすことで楽にすることができるんじゃないか?」ということだろう。
使えるシーンは大きく2つだが機会は多くはない
結論から書こう。
ベンチャー企業の仲間たちもこぞってChatGPTを使ってみたり、時にはライセンス購入してみたり(私もその一人)したようだったが、結局のところ使えるシーンは大きく二つであるということが分かった。
①Excelの単純作業を処理するコードを示してもらうこと
②何かに着手するときの構想を何となく示してもらうこと
①Excelの単純作業を処理するコードを示してもらうこと
これは本当にそのタイミングで業務が発生した際に少しだけ感動を覚えた使い方だった。
業務の中で少しだけ情報システム部的な仕事を手伝う機会があったときに、新しく構築した環境にログインするための初期アカウントと、二要素認証用の画像情報が各シートに添付されているExcelがあり、これを個人に分割して配る必要があった。
A1セルにはログインする者の名前が書いてあり、書くページに個人用の認証情報が張り付けてあった。
もし手で無理やりやるなら、
- 「シートを右クリックし、シートの移動」などの作業を実施
- 新しく作成したシートにA1セルに記載の名前を書く
- これを人数分(数十人分)繰り返す
という作業が必要になる。かつ、残念ながら自分には自動処理プログラムを書くスキルもないので、単純作業いやだなぁなどと思っていたところだった。
そこで思い出したのがChatGPTである。試しに以下のような問いかけを投げかけてみると、予想以上の答えが返ってきた。
上記の質問は、業務時に実施した質問の再現であり、実際の質問とその回答内容とは異なるものの、ほとんど同内容の答えが得られた。
これを指示通りに操作することで、おそらく単純作業をしていたら20~30分くらいかかっていたであろう作業を大幅に短縮することができた。
②何かに着手するときの構想を何となく示してもらうこと
ChatGPTを試している中で感じた問題点は、ChatGPTは「案を出すことは得意だが、納得感のある構成を示すことは得意ではない」ということである。
何を言っているかは、下のキャプチャを見てもらうとわかるだろう。
確かに、マーケティング手法のうちいくつかの手法については言及されているように見えるが、どれも思いつきで納得感が無い。
例えば、
「マーケティング手法には、大きく分けるとインバウンドマーケティングと、アウトバウンドマーケティングが考えられます。インバウンドマーケティングは・・・」
というように全体感を示しながら、その中でどのような手法があるかを列挙するような説明であれば納得感はあるのだが、これが行われていないので納得感が無いのである。
そのため、ChatGPTが出してきた答えを、社内の上申にせよ、顧客への提示資料にせよ、そのまま使えるということはほとんどないだろうというのが現時点での結論である。
一方、まったく何の知見もない分野であれば、ChatGPTは気まぐれにピックアップしてくれるので、ブレーンストーミングをしたいときには壁打ち相手としては最適かもしれない。